フォーリーアートは決してリアルの補完作業には留まらない。好奇心によって操られた音は世界をつくり物語を引っ張っていく。
あまりにも嘘っぱちの音がリアルを超えた生々しいリアリティを映像に与えることの尊さ。その悦びこそクリエイティヴのなんたるかであり、この映画は音響へのフォーカスを足がかりにすべての創作行為や原始的な創作衝動を包み込むように称賛している。
そしてドキュメンタリー(記録)の風貌を装いながら、本編全体を通して映像と音の主従を逆転させていく試みのクリティカルさ。
エンディングのあの生き生きとしたアンビエンスよ!
僕が音楽が好きで、音楽の仕事をしていることを抜きにしても素晴らしい作品。まじでめちゃくちゃ良かった。
音に限らず、音響に限らず、映画に限らず、ほんの少しでも創作の楽しさを知っている人全員に観てほしいです。