男はくらいよ監督さそり

涼宮ハルヒの消失の男はくらいよ監督さそりのレビュー・感想・評価

涼宮ハルヒの消失(2010年製作の映画)
5.0
京都アニメーション作品をちゃんと映画として評価したい。特に涼宮ハルヒのファンという訳でもなく、純粋に映画として見たが、登場人物たちの心理描写が丁寧で三時間全く飽きないどころか魅せられ続けた。ストーリーも絵も素晴しく、所謂タイムリープ的な側面もある。
リアルタイムでも思ったが、この映画は日本映画では生きる、七人の侍、山椒太夫、ゴジラ、うる星やつら2ビューティフルドリーマーと並ぶ大傑作です!世界映画史でも市民ケーン、アラビアのロレンス、2001年宇宙の旅、インターステラーに匹敵します!まだ観てない方は是非、DVD購入でご覧下さい。
ただ、涼宮ハルヒの憂鬱のシリーズ全部観ないと理解出来ない部分もあると思われるので、そちらを観てからご覧になる事をお薦めします。
この映画は素晴らしき哉、人生!、ビューティフルドリーマーの影響は多大に観られるものの、人生で一番大事なもの。記憶、日常、仲間というものが描かれています。そうした意味では原作はあるものの、京都アニメーションの人たちを描いた自伝なのかも知れません。
物凄い傑作を作ってしまうと、他の時空に旅立たねばならない宇宙の真実を描いたのかも?そして本当にその通りになってしまいました。
私たちは京アニスタッフの消失した時代を生きなけばならないという、主人公キョンと同じ思いを味わわなければならないという現実に直面してしまいました。
そういう意味では、当たり前に過ごしている日常がある日突然全て奪われてしまうという、京アニスタッフたちが命をかけて私たちに残してくれたメッセージなのかも知れません。
繊細な動き、色彩、背景は神の領域の見事さです。現存するアニメ作家が誰も到達出来ない所に行ってしまいました。オリジナルスタッフでこの続編を観る事は不可能になりました。
でもいつか意思を受け継いだスタッフが作る日が来るかも知れません。武本康弘監督初めスタッフの皆様、素晴らしい傑作をありがとうございました