sasa

この世界に残されてのsasaのネタバレレビュー・内容・結末

この世界に残されて(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ホロコーストで両親を失ったクララと、自分を父親のように慕ってくるクララを受け入れるアルド。
賢くて大人ぶっているのに、子供っぽさが見え隠れするクララがとてもかわいい。ケーキを食べたがったり、アルドのベッドに潜り込んだり、口紅が濃すぎると注意されるのを口ではうるさがったのに、玄関を出てすぐに拭ったり。
一方のアルドは、寡黙ながら拒絶せずクララを受け入れる。ベッドに潜り込んできたクララから逃げるのかと思ったら、枕と毛布を持ってきてあげたシーンはかなりグッときた。まだ予定の時間にもなっていないのにソワソワしながらクララの帰りを待っていて、いざ帰ってくるとさも読書をしていたように装ったり。親子ではなく、かといって恋人でも友人でもない絶妙な二人の距離感が愛おしくてたまらなかった。

中盤で明かされるアルドの過去。自分だけ過去を話さないのは不誠実と思いつつ、自分の口で語るのは耐えがたいがゆえの置き手紙。お互いがお互いの家族の代用品なのではなく、お互いに尊重し合っているのが感じられる、涙ぐまずにはいられないシーンだった。
ラストシーンについては正直よく分からなかった。ホロコーストの実体感や、"スターリンが死んだ"ことの重大さがピンとこないからかもしれない。

映像や音楽が美しく、人物の感情の機微が感じられる良い映画だった。
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