この世界に残されてのかにかまのレビュー・感想・評価

人物描写がとても細かく複雑で素晴らしい作品。家族を失った少女と男が互いに空いた胸の穴を補完していく父娘のようで恋人のようである2人の関係は何とも言えないが完成している。少女の孤独を共有できる相手を見つけて惹かれてしまう若いが故の心情と最後のあの頃とは別の場所で生きている彼女は現実的で儚い。男の社会情勢と倫理観から起こした決断と最後の場面での鍵を掛けていた気持ちが収まらなくなりつつも押し殺すといったところもツラい。これを言葉でなく伝える演技と演出は痺れた。最近観た中でかなり好み。