tabi

シュガーランドの亡霊たちのtabiのレビュー・感想・評価

シュガーランドの亡霊たち(2019年製作の映画)
3.5
短いのに友人たちの語るべきことがいかに多いかって程に言葉が尽きずかなり満腹になる。彼が写るのはどれもリラックスしたスナップ写真で数も多く、ちゃんと彼がそこに存在してたことが感じられる。
日本人に理解しきれないのは、常に他者と関わる時に人種を切り離せないこと。結果的に彼は1番にムスリムとしてのアイデンティティを望んだのだろうか。
地元の友人だけなのであくまで一面にすぎないが、友人たちは饒舌で彼等も背負ってるものに思うことがあるのがよく分かる。輪郭はくっきりと見えるが、私以上に彼等のほうが実体を掴みきれないのかもしれない。
亡霊たちってのが効いている。

東日本大震災後自分はテレビは見なくなりネットの情報にも距離を置いて精査する時間をかけるようにした。コロナ禍で家族が陰謀論の動画ばかり見てるなんて人の話を聞くことがあったが、他人事ではないと感じた。
同じ様な環境で同じ様なものを見聞きしてきたはずなのに、こんなにも遠い。目の前にいる人間は本当に自分が知ってるその人なのか?
人種も国も宗教、性別、イデオロギーも取り払ったとしても同じ話が出来ると思う。
こう話せばこの作品も私達の足元にある話に思えるかもしれない。
tabi

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