雨宮旅人

すばらしき世界の雨宮旅人のネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

教員をやってると、必ず会うタイプの子がいる。暴力で全部解決しようとする子。その子と同じ顔を役所さんがしていたので、いきなり心のどこかを鷲掴みにされた。すげえな、役者ってさ。

生きてると「困った人」に出会う。だいたい困った人には困った人の論理がある。だけど、その困った人の論理にはたいがい何かの真実が含まれている。
でもそれを無視しなければ自分たちの世界のルールを守れない。
ラスト近く、障害者をバカにして笑っていた彼らの論理も、彼らのなかでは正しいのだ。それを違うと言えず、暴力以外でそれに異を唱えることができない三上。身体の言語以外に言語がない人のかなしみがあった。

西川監督の「ディア・ドクター」がすごく好きで、「誰かが誰かを救うのなら、それが正しい手続きである必要があるのだろうか」と思ったのと同時に、「誰かに必要とされているから、存在できる」ということを考えたのを思い出す。誰かに必要とされて、泣いてもらえる人生なら、トータルで良かったんじゃないか、と思いたい。
正しくなくてもいいから、丁寧に生きよう。
雨宮旅人

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