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すばらしき世界のnaoのネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

観る者の核心を突き、心の奥底から抉られるような、そんな映画だった。

すばらしき世界ってどこに存在するんだろう。

三上は、紛れもなく「まっすぐ」すぎる程の男だ。善悪の判断を下すより先に、悪だと思ったことに対して手が出てしまう。それが善悪の悪に当たることになってしまったとしても。
だからこそ、三上は虐められている老人を放っておけなくて、手を上げてしまった。きっと、起こしてしまった殺人事件も人を殺したいという動機に駆られたのではなくて、その場の弱者を助けたいっていう行動からの結果として殺人になってしまったのだと推測した。
長期間刑務所で服していて、社会に更生すること自体がまず難しい問題である上、まっすぐ過ぎる三上にとっては尚更のことだ。刑務所では不都合なことが起こるとカッとなって反抗して罷り通っていたことが、社会では通用しない。それが社会なのだ。
刑務所と、社会、社会で生活することは、何ひとつ制約がない生きやすい世の中であるからこそ、我慢を強いられる生きづらい世の中なのかもしれない。
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