和

すばらしき世界の和のネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

【このどうしようもない素晴らしい世界を描いた『すばらしき世界』】

登場人物がみんな多面的に描かれていて、主人公以外の人々まで、どんな人生を送ってきたのかが自然と伝わる、よく描けた脚本。
書くのに3年かかったと聞いたが、元受刑者だけでなく、身元引受人や老人介護施設に至るまで、丹念に取材されたんだろうなぁと思った。

三上の生活にはハラハラさせられた。特に介護施設で働き出してからの見せ方が上手くて、「あー、やっちゃったー」と思ったら想像のシーンだったり、完全に自分がのめり込んでいることに気づく。

泣いたのは、ディレクターの津乃田が三上の背中を流す時の表情。三上の中途半端な刺青と、味のある背中からいろんなことが伝わってきた。
あと、施設で虐められていた、障がい者枠で働いていた人の「花持って帰る?」っていうシーン。涙腺崩壊した。

三上という男の生きざまを通して、冷たさもあたたかさもある社会がしっかり描かれた素晴らしい映画だった。
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