見終わってからすぐに感想を書けなかった。
色んな感情がぐるぐるして。
なんて映画なんだ。。。
悲しく、寂しく、それをも上回る絶対的な優しさ。
子供の頃からの影響で、感情がすぐ暴力へ向かってしまう男・三上。
それしか方法を知らない。
そして三上からの暴力が起こる瞬間は、いつも優しさや真っ直ぐさから生まれる。
理由はとても真っ当だ。
でも、その繰り返しが暴力的でヤクザな男へと成長させる。
刑務所から出てきて、今度こそはカタギになることを誓う。
でも社会の歯車が簡単にはそうさせてくれない。
観ていて『わたしはダニエル・ブレイク』を思い出させた。
生きていくことの難しさ。
弱者を守る制度の曖昧さ。
三上を取り巻く人たちがみんな素晴らしく、これが一番大事なんだと感じる。
関わる人がいること。
気にかけてくれる人がいること。
きちんとした意見を言ってくれる人がいること。
みんな信じられないくらい優しかった。
店長の「今日の三上さんは、虫の居所が悪いんだね。また話そう」という言葉には衝撃を受けた。
ここまでして人と向き合えるなんて。
自分はこんなふうに人と向き合っているだろうか?
諦めず、寄り添うことができているだろうか?
出ている役者さんみなさんがほんっっとうに生身の人間で素晴らしすぎた。
役所さんはもう演技じゃなかった。
衝動、感情の流れが『人』そのものだった。
コスモスをもらって泣きながら帰ってるシーンは涙が止まらなかった。
太賀くんも、緑子さんも、六角さんも、みんなみんな素晴らしかった。
もう一度観たい。
【すばらしき世界】
ほんとにそうだった部分と、ラストの皮肉めいたものと。
三上が許せなかったものを見て見ぬふりして生きる世界は、すばらしき世界なのだろうか?