午後

すばらしき世界の午後のレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.8
電話の端で聞こえる子どもの泣き声、娘の年齢を聞いて折る指の数、嵐の中いつまでも取り込まれない最後の洗濯物。
西川監督の作品は映像作品でありながら小説のようで、情報や心情が我々に委ねられてるんですよね。

故に一層深く没入して、感情を入れ込んでしまう。

三上から見た施設の職員達は悪意に満ち、苛立ちを覚えるに充分な人達でした。

ですが、子どもにも出来る些細な事もままならず、入居者さんが溺れかけてるのを放置してスマホを弄ってる同僚なんて「勘弁してくれ」って言いたくなりますよ。

「ただでさえ大変な仕事なのに、こんな荷物を抱えさせられている」
それが理由であれば他者をいたぶって良いのか?
きっと多くの人は「NO」と答えますよね。

じゃあ、人を殺した三上が真っ直ぐな人間であれば許されるんですか?
倫理って、モラルって、正しいって、すばらしき世界って何なんだろう。
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