役所広司が凄過ぎる映画。
服役していた人間への偏見、日本社会での扱いや、服役後の復帰の難しさ、時代の流れや三上の場合においては適応する事への価値観の違い。様々な問題が障壁として描かれます。
主人公が感情の起伏をコントロール出来ないことへのフラストレーションを此方も一緒に感じずには居られませんでした。コスモスの美しさと三上の泣きながらの笑顔が哀しくて苦しくて仕方がなかったです。最後までずっと三上が大きな子供のようで、感情の豊かさに惹きつけられずにはいられませんでした。
ただ監督的に原作有りの脚本化という形で勝手が違うせいかわかりませんが、いつもよりやや人物の描写が大味の様に思いました。
西川美和監督は、どの映画も
日常の中で普通の人々がもつ、底にある醜さを抉るように、時に鋭く、描く人だと思っています。
今回もそれが肝になって話が進んではいくのですが、目的が先行しているようにみえてしまい、話の流れに対して過剰にも思えてしまいました。
過剰なのに切れ味が良くない。
個人的には長澤まさみの役は違かったかなぁ。匂わせるような電話の声とか、無理矢理な業界人感とエロさと衣装の感じとかも
長澤まさみさんは大好きな女優さんですし、演技自体は意図した通りのものだと思われますがなにか変でした。
いままで西川美和監督作品で感じた事のない、違和感。主人公(観客)にとって悪い人間と良い人間の境目がはじめからはっきりし過ぎたのかと思います。人間が生きてない、役割分担感が否めなかったようにおもいます。
最後の映画のタイトル見せもそうですが、リアリティーと、ドラマチックの塩梅が個人的には惜しいというか、ほんとにこんな感じにしたかったのかな?と。
とても良い題材と内容なだけに、、、。
あ、六角精児さんも良かったですね。