気の短さから、いざこざを招いてきた三上。短気は損気。
短絡的な目標設定や、力を振るうことを是とする振る舞いを続けていたが、出所後は要所要所で背中を押されて、次第に自分を見つめられるようになり未来が見えてくる。
母親を恋しく思う気持ち、尊厳をないがしろにされる哀しみ、希望を持つ嬉しさを役所広司が安定の名演で魅せる。
実在する男の一生を見つめたような近さを伴う存在感。
生きづらさを抱えて日々を生きている人が、社会にはいる。
そこに目を向ける映画。
心情を吐露するソープ嬢(桜木梨奈)が印象的。
ラスト、駆け付ける5人を俯瞰してタイトルを出す演出が巧い。
親身になってくれる人との出会いこそ、すばらしき世界。