このレビューはネタバレを含みます
ずっと観たいと思っていて、レンタルして観た。もっと早く観たかった。
物語が終わったあとのテロップ、『すばらしき世界』が最高の皮肉であるように感じる。三上からみた世界は素晴らしかったのかな。
三上が出所してから出会う人々、皆さんものすごく人間味がある。いい所も、悪い所も、たくさん見つけられる。
役所広司の演技に飲み込まれる。
スイッチが入る演技、急に涙が溢れてくる時の息の詰まるような、子どもみたいな表情、全部が印象的。笑った顔があんなに優しいなんて。柔らかい表情のシーンは見ているこちらもホッとしてしまう。
水商売の女の子が 三上のことを 可愛い人 って言った時、すごくしっくりきた。
あのシーンは、序盤の養子縁組の時の三上と、息子と暮らすことを楽しみにしている母親に「お母さんだ」と言えた三上の、対比になっているのかな。
そしてケースワーカーの井口さんも印象的。あんなに熱心な方はきっと居ないんじゃないかなと思ってしまう。北村有起哉さんの公務員役がリアル。序盤から関わってくる人の中では、三上には仕事上1本線を引いているような人物だけれど、やっぱり井口さんは三上のことを考えている、というのが分かるセリフや有起哉さんの演技が本当に良かった。有起哉さんやっぱり大好き。
全体通して、頭が痛くなるくらいに泣きました。泣いて、泣き止んで、また違うシーンで泣いてを繰り返す映画。
就職決まって、子どもみたいな笑顔で走るシーンはボロボロ涙が出てきてしまった。嬉しくて嬉しくて、っていうのが全部出ていて胸がキュッと苦しくなりました。
最後のシーンも良い演出だなと思いました。三上の優しい部分が残っているのが本当に嬉しかった。洗濯物の取り込みで彼がどうなったのかが分かるのも、粋な演出でした。