この世界は偏見に満ちていて、
人が人を欺き、踏みにじり、
社会の「普通」に当てはまらない人を除け者にする。
それでも。
どんな生き方をしていても、
今がどれだけ惨めで苦しくても、
手を差し伸べてくれる人はいて、
一歩前に踏み出すのを支えてくれる人がいる。
そんな人の優しさもこの世界にはあるのだと、じんわり伝わる映画だった。
主人公の男は、元ヤクザで、刑務所帰りで、すぐカッとなって居場所を見つけられないダメなおじさんなんだけど、それはただの狂気ではなくて、曲げられない信条だったり根っこの優しさが原因の癇癪だったりするから、どこか憎めない。
どこまでも不器用で、真っ直ぐすぎる。だから、周りの人たちも支えようとしてくれる。
愛を知らず、だけど人と関わりたい、社会と関わりたい。
もがきながら、なんとか生きようとする役所さんの演技に泣かされた。
