西川監督版のヤクザと家族。社会からはみ出す生きづらさと人との繋がり。俳優陣は良いし好きな場面も多いが、予想を超える展開はなく、過去作と比べて自分には響かなかった。
西川監督作品特有の人間性の揺らぎみたいなものに、今回あまり浸れず残念。序中盤に三上の「ズレ」を垣間見せてしまったことで、終盤がどストレートな人情劇になってしまった感がある。モデルが実在していることに引っ張られたのかな。
役所広司はさすがの演技力。仲野太賀は好きな俳優だけど、今回はあまりハマらなかった。取材をしているとはいえ、三上に好意を寄せる過程が前半に見えてこなかったからだと思う。
長澤まさみ、役柄的にエルピスと印象が重なるけど、今回は少しドライ。
劇中で語られていた幼少期の家庭環境による脳への影響の話が印象的。しかも暴力を振るうと、アドレナリンが多く放出されて依存してしまう。最終的にそこから抜け出した三上は本当に頑張ったんだろうなあ。辛くもあり優しくもあるこの世界を最後は肯定できたと信じたい。