温

すばらしき世界の温のネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「素晴らしき世界」
良かった点

・仕事どうしてるの?と電話をしている時の、シケモクに火をつけてお金があまり無い事を表現していたところ。

・おじさんの言葉遣いで、
剣道ってメン・ドーのあれかい?っていうちょっとした話し方がおじさん感がある喋り方で漫画でもそういった話し方を取り入れられるところ。

・刑務所に長い間入っていたこともあって最近の感覚と少し違う感覚がある会話が、よりリアリティがあって良かった。

・悪いことをした三上だけど、自分なりに今を頑張っている感覚で応援したくなるところ。(洗濯物を干したり、ゴミを捨てに行ったり、スーパーで野菜を選ぶところ、ミシンをしているところなど、そういう些細なことをしているシーンでそう思えた。)

・下の階の人とのトラブルの時に、主人公の行動は周りの住民からしたら迷惑なことだけど、見ている自分は三上の気持ちに寄り添った感情で見れるので、そこの表現の仕方が上手いなと思った。

・公衆電話で仕事を断られた後に、忙しそうに働く人たちを眺めるシーン。このシーンがあるだけで、三上の心情がより深く分かるように感じた。

・昔のことを聞かれると嬉しそうに武勇伝を話す三上がとても良かった。

・万引きを疑ってきた人の、三上に詰め寄られたあとの人の変わりようが人間味があって良かった。

・部屋でひとりで自動車の勉強をしているシーンが良かった。

・試験管について行く時に行進しながらついて行くや、車に乗る時に掛け声をかけているのがちょっとしたギャグで良かった。

58分
→元犯罪者が社会からはぐれた末に何をするかと言えばまた被害を出すことだから。だけどきっかけがなければ誰も自分事だとは思えない。レールの上を歩いてる私達もちっとも幸福なんて感じてないからはみ出た人を許せない。人は思うことは三上さんと同じ。だけど排除されるのが怖いから大きな声は出さない。
→結局、世の中誰しも自分の現状に満足している人なんて少なく、少しでも自分よりも劣ってしまう人に腹を立ててしまうというのはとても共感出来てしまうことなので、それをしっかりとセリフにしていたところがまるで見ている自分にまで言われているような気がしていいセリフだなと思いました。

1時間10分
→撮らないなら割って入ってアイツ止めなさいよ。それが出来ないなら撮って人に伝えなさいよ。上品ぶってあんたみたいな人がいちばん何も救わないのよ。

これは三上へ向けられた言葉ではなく、その場から逃げたツノダへ向けた言葉だけど、その後にもあった、全てのことに関わるほど人間は強くない。逃げるのは敗北じゃない。というセリフを三上が言われた際、三上にとっては、その言葉が救われるようで最終的に自分自身が救われない言葉で改めて難しい世の中だなと思った。自分の身を守るためには、あることから目を背けなきゃいけない。とても見終わった今でも、少し行き場のない感覚がありました。


1時間26分
ヤクザの家に警察が押しかけているシーン。
→三上さん、うちらはもうなるようにしかなりません。やけどあなたはこれが最後のチャンスでしょうが。外は我慢の連続ですよ。
→三上(主人公)を引き止めてくれる大切な登場人物でもあり、主人公が考えを改直せるこの人だからこそ言える言葉だなと思いました。
1時間46分
→(ヨシザワ)そんな普通になられちゃって。(三上さんが)
へのツノダの返答
普通になるんですよ三上さんは。それでも描きます。かけます。僕。
→ 最後まで三上さんのことを見ていたこの人だから、三上さんの優しさを知った上でのセリフでとてもいいなと思いました。


・刑務所を出た後、普通になることに苦戦している所を見た後に、世の中の普通になっている現状に三上さん自信が合わせることが、逆に不器用ではありながらも心の優しい三上さんにとっては苦しい事だよなと見ていてとても心が苦しくなりました。

・はじめは誰もそばにいなかった三上さんが死んだ時、泣いてくれる人、駆けつけてくれる人がいたのは、その人達が三上さんが生きにくい世の中を頑張って生きていこうという姿勢が人を引き付けたんだなと思えるラストでとても感動しました。

素晴らしき世界に出てきた人たち(キャラクター)は全員主人公の心情が変化していくのに意味のある大切なキャラクターばかりでとても勉強になりました。
温