タピオカ

プラットフォームのタピオカのレビュー・感想・評価

プラットフォーム(2019年製作の映画)
4.0
素晴らしすぎる。この監督何者!?ジョーダンピール的な大好きな感じ。観客を引き込む物語の進め方と悪趣味さに才能を感じた。
ただ、この作品が再分配の機能不全を起こしている資本主義社会(世界)への風刺だとしたら、前提が2点異なると思いました。

まず、333階層666名であの量はそもそも足りないのでは?全員が生きるために必要な量を食べたとしても、ちょっと少ないだろ……ファクトフルネスの受け売りで、、世界の食べ物は人間の数に対して有り余ってるし、資本主義(プラス福祉国家)は意外と有効だし、飢餓や極度の貧困はそこそこ解決されてるはず。イデオロギー対立、民族対立、環境破壊、メンタルヘルスそのあたりが我々世代の主な社会問題になりそうだと勝手に思っている。

次に、卑近な話だが、、私は食べすぎることを全然美徳としない。必要な量以外は要らない。過度な富の蓄積も要らない。使う目的に沿って必要な分のみでよい。持ち家も車も要らない……。世代差か性別差かはっきりしないが、周りは似たような考えの人間が多く、世の中の潮流もそうなっている気がする(私の世界観が偏っている??そんなことないと信じたい)。拝金主義の強欲な世代を冷笑してる節があるし、身を粉にして働いて無意味にお金を貯めてなんて…なんなら不幸と思っている。そういう人たちはどんどん死んでくし、この映画で描かれる上層の人たちが持つディストピア的価値観が現実のものとはちょっと思えない……。

空腹が限界を突破し死の間際の極限状態で真理に辿り着いた主人公、これは仏教の悟り(即身仏の状態)と近いのではないか。近年のマインドフルネスブームもなんとなく想起してしまう(し、もし監督が仏教の素養のある人ならそんな甘っちょろい瞑想じゃだめだめ!っていう皮肉すら感じ取れる)。
でもZ世代はそんなハードな修行はしたくないから…伝言にも宗教にも頼らず、普通に考えて普通に真理に辿り着いて普通に生まれた時より良い世界にしたいと思いながら、普通にできることを少しづつやります……。
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