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プラットフォームのNnのレビュー・感想・評価

プラットフォーム(2019年製作の映画)
3.5
どんな内容の話かは知った上で鑑賞。
確かに演出や設定等がわざとらしすぎるというのはあるかもしれないけど、こういう世界にまさに生きてるんだから作品のルールや展開を馬鹿にできないな〜と思って観ちゃうよね。
ネトフリオリジナルのイカゲームが人間の醜さを描いていて良い!と絶賛されてるけど、私はイカゲームよりもこっちの感じの描き方の方が好きだなあ。

冒頭から、あまりにも真理すぎるセリフや描写が多くて、もはや笑ってしまう。
個人的には、「ある程度の階層にいると、想像もできないような下層がいることに気づかない」という描写には唸った。

この作品の中の世界観とどうしても現実が異なる点は、自分がどこの位置にいるのかというのが明確にわからないという点だと思う。
だから、現実では、自分が恵まれているのか恵まれていないのかよくわからない不安感がさらなる分断や衝突をより煽ってるよね、なんて思った。
自分が今6層にいるとわからなければ、行動を起こし、持っている富を正しく使うということを考えないと思うので。

「アメリカンニューシネマ」というムーブメントが映画史の中で今でも語られるように、パラサイト等の映画と一緒に今後語られていくような作品なのではないかなと思う。
いわゆる分断だけじゃなくて、貧富の差をグラデーションで表すというのはなかなか作品としてアウトプットされていない気もするし。

構成的な部分でいうと、1ヶ月ごとに階層が変わるという設定もあるので、どんどん展開していくからテンポ感も良くて見やすい。
実際に遭難して、人肉を食べた人らの実話をもとにした小説を読んだこともあったから、それを踏まえても幻覚に悩まされていく描写が入るというのも好きだった。
ただ、解決の糸口とされる「伝言」に効果があるのか…?と思ってしまうところや、
キリスト教や聖書のメタファー満載すぎて観ながらではついていけない感はちょっと微妙ではある。
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