カイ

プラットフォームのカイのネタバレレビュー・内容・結末

プラットフォーム(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

2023年3作目。無機質で冷たい「穴」と呼ばれる、上下構造の建物に志願して入ったゴレンを主人公に、階層をランダムに行き来しながら進む物語。直喩的に資本社会の構造を非難しながら、如何にこの社会が不条理かを視覚的に皮肉る構成が素晴らしい。本を持ち込んだゴレンが、穴の仕組みによって徐々に崩壊していく様が痛々しい。「サムライ・プラス」のトリマガシは合理的に生きろと諭し、イモギリは富を再分配するべきと説く。しかし、この「穴」の構造は強固で、そこには付け入る隙がない。分け与えれば大丈夫だと思われていた「穴」が333階層の、互いに貪り合わなければ生き残れない構造であったというオチは、迂闊な楽観主義を許さない。そして最後に気付く。自ら入ったゴレンを嗤う者もいるだろうが、では「穴」と「外」では何が違うのか、と。最後の伝言が伝わったとして一体何が変わるのか。ようこそ素晴らしく不条理な穴へ。そして自分も穴の住人であることを忘れてはならない。
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