ドーナッツ

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のドーナッツのレビュー・感想・評価

4.5
年老いたアートディーラーのオラヴィは作者不明の肖像画に魅せられるが、店を畳む決断をくだそうと考えるぐらい資金不足に悩んでいたため購入は不可能。しかし、最後にいい仕事がしたい、という思いから仲間の反対を押し切り、職場体験に来ていた孫とともに作者の解明に、資金集めに奔走するうちに今まで知らなかった事実を知っていく話。

絵の真実を解明していく様子、向き合ってこなかった家族が抱える真実、美術界隈の厳しい現実、など見応えのあるストーリーが繋がっていく様子が丁寧に描かれていた。

たしかに抑揚のない展開であったことは否めないが、オラヴィの生き様を反映させていると思えば、これぐらいゆっくりした進行で良かったんじゃないかなと思う。

また、オークションの手に汗握る展開、絵に関するうんちくやエピソードなど美術視点でもしっかり楽しめた。
フィンランド映画を観る機会はめったにないけど、積極的に観ていきたいと思う。