このレビューはネタバレを含みます
事故で記憶をなくしたアレックスと
双子の兄弟マーカスの独白でつづられるドキュメンタリー
記憶のないつらさ
記憶のあるつらさ
わたしたちのアイデンティティは
自分の記憶が下支えしているのだと改めて思う。
その記憶がなかったら。
埋め合わせた記憶が嘘だと気づいてしまったら。
真実があまりにつらいものだったら。
見ていて終始胸が詰まる思いだった。
この作品には描かれてないけれど
母親のパーソナリティは
どのようにして生まれたのか。
彼女自身もゆがんだ環境で育ってきたのか。
あるいは生まれついた何かなのか。
子どもへの愛情は備わっているものではなく
記憶の中で習得されていくものなのか。
そもそも小児性愛とは何なのか。
許しを乞うたのは罪悪感があったのか。
彼女だけの話ではなく
日本も含め親子間の性虐待の問題はつきない。
受けた傷は死ぬまでその子たちを苦しめる。
あの数分の告白をするために何十年も費やしている。
その重さたるや。