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第七の封印のnotitleのレビュー・感想・評価

第七の封印(1956年製作の映画)
3.9
ベルイマン先生の哲学映画。前作から一転してシリアスな映画に見えるが、やはり冴え渡るギャグセンスは健在。

第七の封印が聖書の黙示録からの引用ってことからもわかるように、キリスト教的なメッセージを扱った映画である。
神はいるのかいないのか問いながら、十字軍の遠征から帰ってきた騎士と従者が疫病が蔓延する終末世界で旅を続けるお話。

いきなり登場する"死"のビジュアルもさることながら、海岸とか森とかチェスとか火刑とかを画面に映し出すその美的センスが素晴らしい。
台詞は少々抽象的で退屈になってしまうきらいはあるが、やはり台詞のテンポが良いので心地良く見られる。
特に、従者のヨンスはセンスが神がかっていて、本当にユーモラスでカッコ良く、見ていて心地良い不思議なキャラクターだ。

RPGのように登場人物がどんどん増えていくのも面白い。始めは騎士と従者、その後から村娘、芸人家族、鍛冶屋、その妻というように大行列になっていく。
折々にいがみ合いがあっても決して後を引かず、唐突に訪れる独特のギャグセンスでカラッと笑わせてストーリーを進めてくれる手際の良さ。
死や終末を扱っている中でここまで笑いを作り出すことができるのは凄いことだ。
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