ダンク

第七の封印のダンクのレビュー・感想・評価

第七の封印(1956年製作の映画)
4.5
2度目の鑑賞。

「死」をテーマにした映画。
映画の中で一貫して「死」を描き続けてはいるが、最終的に生きるということを力強く語りかけてくる。ベルイマンの生きようというメッセージが明るい光と温かさを持って伝わり元気付けられました。

この映画の最大の魅力は死神が様相こそは恐ろしいものの、普通に生きた主人公と話し合っているところです。この型破りな演出がストーリーとしては全く重要度の無い主人公を主人公たらしめる要素として効果を発揮しています。死神だけれど怖くは無い。まるで死や神を畏れすぎ自らの空想だけでそれらのイメージを膨らませ過ぎている人々への嘲笑とも取れる描かれ方です。
この死神への主人公の語りかけがこの映画のテーマとなっています。
「なぜ神は五感で捉えられずなぜ曖昧な約束や奇跡にお隠れになるのか?」
逆に連れ添いのヨンスは語ります。
「十字軍は愚の骨頂。理想主義者の集まりだ」
神とは何なのか?死の先には何があるのか?
このような問題を登場人物たちは投げかけ、私たちに考えさせます。
死とは何なのか?
その答えをこの映画はきっと教えてくれるはずです。
全体としてあまりにも抽象的に語られ過ぎているこの作品ですが、ベルイマンは巧妙な光の使い方と対比でほとんどを語っており、類い稀ないその発想は流石としか言いようがありません。

主人公の台詞
「この平穏なひと時を心に刻もう
野いちごとミルクの器
君たちの顔
眠っているミカエルとヨフの楽器
交わした言葉
この手に記憶を留めよう
こぼれぬようそっと優しく抱こう
それが恵みとなり喜びとなる」

余りに詩的に鮮やかに生きる喜びを描き出した一作です。
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