【コロナ禍の今だからこそ観るべき傑作】
ベルイマン監督鑑賞3本目
興味深い芸術かつ、意外とエンターテインメント性があってとても楽しめた。むしろコメディ。
全然難しくはなかった。
難しいと思っている人も頭では理解できてなくても、多分無意識的な潜在意識下では言語化できない領域で理解できていると思う。
中世ヨーロッパの世界史とキリスト教と哲学の知識がちょっとあるとなお面白いかも。
古代ギリシャから現代まで何度も人類が悩まされてきた疫病、ペスト。
特に中世の流行が酷く、「黒死病」と言われ、恐れられていた。人口の3割以上は死んだらしい。
しかし!!!! 実はその一方で良いこともあったの!!
この頃、人々はあまりにも疫病で多くの人がバンバン死んでたことにより、"生きる意味"というのをとても考えたの!!
ということが、この映画を観ると本当によくわかる。
「なんのために生きているのか」
「神は何故助けてくれないのか」
「この世は終末に近いのではないか」
当時のヨーロッパは多くがキリスト教(カトリック)だったので、
「こんなにも酷い状況になっても助けてくれないなんて、神は本当にいるの?」
という神の不在のテーマから、
「死に近くなり、最期ぐらい悔いなく生きたいけど、なんのために生きているのか分からなくなった」
という実存主義的なニヒリズムを問うことで、
"人間は一体なんのために生きているか"
というのを監督は映像で表現している。
個人的に思うのは、
それは言葉で理解できなくていいと思う。
無意識的にでも、この作品を観れば、観客の潜在意識に入り込むと思う。
白黒の強いコントラスト、
リズミカルなコメディ、会話劇、
抽象的なテーマを神秘的な映像と言葉で"映画的"に撮られる演出、
素晴らしい傑作でした!!