このレビューはネタバレを含みます
舞台挨拶中継付き
ありふれた男女の、出会って恋してすれ違って別れる5年間の物語。感情移入し共感して胸がギュってなるシーンがたくさんあった。
趣味嗜好が一緒で気が合うことが分かってから一気に距離が縮まっていくときのときめき。付き合って色んな初めてをするときのドキドキ。
恋人との現状維持を思い描いていたけれど仕事に縛られて心をすり減らし夢を諦め、いつしか付き合った頃の感情がどこかへ。変わってほしくないものが変わりゆく切なさや、もう元に戻れないと知ったときの虚しさ。
ファミレスでの別れのシーン、ドリンクバーを頼み同じスニーカーを履き、本を交換し合う大学生の2人。5年前の麦くんと絹ちゃんそのもの。お互いのことが嫌いなわけじゃない。でももうあの頃には戻れない。涙が止まらなかった。
細かい描写がなされ、音楽はほとんど流れない。2人と同じ時間の流れを感じさせる演出なのか。まるで小説のページをめくっているような感覚を覚えた。
菅田将暉と有村架純の恋人の空気感、多摩川が見える広いベランダ、本が敷き詰められた部屋、コーヒーを片手に歩く帰り道の描写が素敵だった。この2人じゃないともう考えられないほど。
この作品をきっかけに坂元裕二さんのファンになった。そして、今まで恥ずかしながら映画を観るときは演者の名前しか見ていなかったけれど、脚本家もチェックするようになった。