リプリー

花束みたいな恋をしたのリプリーのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.0
花束みたいな恋をしたぁぁ??そりゃ有村架純が彼女なら人生花束、バラ色でしょうよ!菅田将暉が彼氏で、ハイハイお幸せに〜。俺は拳銃と、ブロンド美女とカーアクションが詰まった映画楽しむんで!!
なんて、10年前の僕ならブッチギリスルーの作品なんですが、何せかなり世評も高く、坂元脚本作品のドラマは結構好きで、かつ僕のおひとり様歴長く板に付いてきて、大人になったので見てまいりました。

まず、脚本家の坂元裕二さん。
彼のドラマはそれこそ結構見ていて、MOTHER、WOMAN、中でも最高の離婚、カルテットあたりなんて夢中になって見ていた。
キャリアも長い方なので、わたしたちの教科書、あなたの隣に誰かいる、あたりも好きだったな、と。
特にここ最近の作品は、坂元脚本らしさみたいなのが全面に出ていて、結果世間的に非常にウケているのだから凄い。
で、このらしさは何かと言うと、やっぱり台詞回しになるのかな、と。
リアルとは違うが、台詞1つでそのキャラクターを浮き彫りにする上手さがある。
言うならば、和牛の漫才の水田さん的屁理屈、偏屈キャラというべきか。
それが共感できるかどうかは別として、「今それいうかね!」とか「まあ言われてみればそうだよねぇ。」となる面白さ。
ドラマの脚本家としてもクリフハンガーの作り方もうまく、個人的には最高の離婚で、瑛太と真木よう子がいい感じ→一方、綾野剛と尾野真千子は…エンディング!の流れなんて今でも思い返すほどテンションが上がる終わり方。

さて、前置きが長くなったが、そんな坂元脚本的キャラクター同士が出会えば「あっ、この人(今までの人とは違う)」「この人となら(うまくいくかも」なんて、恋に落ちるのは必然ともいえる。
序盤のイヤホンのくだりから坂元節全開で「あぁ、坂元脚本作品見てるなぁ」という心地よさがある。
しかし、永遠に続く恋は片思い…なんて格言もあるように時が経つに連れ関係に変化が生じてきて…。とまあよくあるお話で、想像通りに展開していく。


相互理解できるかもという希望を感じ、トキメク瞬間、そして人生におけるある選択をしたことによるすれ違いは誰しも経験があると思うので、過去を思い返した人も多いだろう。だから非常に万人に勧めやすい恋愛映画ではあるし、オールタイム・ベスト!となる人が多いのも分かる。僕も好きなシーン、台詞はたくさんある。
主演二人はチャーミングで、破滅に向かいながらも「あぁ、誰も悪くないのにあるよね、こうなっちゃうこと」ともどかしく感じたのも確か。
でも個人的に、本作のテーマといえるオトナになる、みたいなのが少し幼稚とまではいかなくてもイマイチ共感できなくて、ある時点から菅田将暉があんまり好きなキャラクターでなくなってしまった。もちろん、彼なりに熟慮した上での決断で、道は違えど今の選択に誇りをもっているのだろうが、好きを仕事にするが子どもだと一刀両断するのは…そんなにみんな好きじゃない“シゴト”をしているんですかね…。
あと、坂元脚本のクセの部分で、じゃんけんのくだり含め好きじゃないセリフもチラホラ。
例えば「映画見ないんですか?」「あるよ!マニアックな方だと思うけどねえ。ほら、ショーシャンクとか…」みたいな奴ってもはやいるのかね…。
いたとしても何かそう言う人を笑いにする感じもあんまり好きじゃないな、と(相容れないのは凄い分かるけどね(笑))。
とまぁ、これだけ文句も言いましたが、この手のジャンルとしては良作だと思うし、何ならシナリオ本も買いましたので、決して嫌いではないです!