ヒカリ

花束みたいな恋をしたのヒカリのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

2021年2月にして、人生における恋愛映画において上位にランクインする作品を見てしまったかもしれない。
以下、ネタバレを含みます。

『はじまりはおわりのはじまり』という言葉がとても現実的で切なかった。
自分と異なる趣味や価値観の人間と恋愛をして、お互いがトクベツになることさえ難しいというのに、現実は例え、同じ靴を履いていて、同じ本を読んでいて、同じ音楽を聴いている君に運命的に出会ったとしても、末長く幸せに暮らせる保証も何もない。
3年後、5年後、出会った頃と同じ趣味や価値観でいるとは限らないし、現実社会はあまりにも荒波がたっている。
そんな日々でキラキラな2人の愛も緩やかに枯れて、萎れていく過程がリアルだった。

音楽をイヤホンで聴いても、Lからはギターとキーボード、Rからはベースとドラムが流れてて、別々で聴くとまるで違う曲のように聴こえる。
クロノスタシスを共有し合った時間も同じ空間で本を読み映画を観た時間も、同じひとつのものだったはずなのに、少しずつずれていって、終いには全く別のものになってしまって。
少しのずれが重なって、広がる。
奇跡が、運命が、感じることもなくなってしまう。
進化し続けた現代の、恋愛って、考えれば考えるほど奥が深くて、偶然の重なり合いなんやなあ。

恋愛は生物で賞味期限があるって耳にしたことがあるけど、
たとえ食べられなくなったとしても、其れがあった事実は残り続けるし、たまに思い出したりする。らしい。

偶然も奇跡も運命もクロノスタシスも、見えなくなって感じなくなったとしても、そうであった事実は心の中で光り続けて、たまにそれが糧になったり支えになったりするんやなあ。

総じて、面白かったです。
2021年に見ることができて良かったです。
ヒカリ

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