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花束みたいな恋をしたのC24のレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.3
ほんの少し憤りを感じました。
※ こんな花束💐みたいな恋をしたい(思い出して泣いた) と素直に思った人は読まないでください。真逆のことを書いてます。

コロナ禍と子の誕生により、映画館から遠ざかってしまったためにFilmarksへの投稿も控えておりましたが、憤ったので1年ぶりに吐き出してみることにしました。

前提として、坂元脚本のポップカルチャーへの驚異的な固執と時間軸のリアルな設定・土井監督のカメラワーク・固有名詞を出すための膨大な版権対応作業・菅田有村コンビの完璧な演技・清原果耶ちゃんの尊さ・オダジョーのエロさは大変に素晴らしいです。


ここからは憤り部分を。
この映画は観る人の大多数、ひいては日本社会の一般的な人を小馬鹿にした作品だと感じました。
小馬鹿にされているのは①~⑤
①この映画を観て単純に恋愛部分に共感するポップカルチャーとは縁遠い人(ショーシャンクがBest映画でカラオケでR.P.G)
②”丁寧な暮らし”を好みポップカルチャーが非凡で唯一無二な宝物だと思っている人(天竺鼠でクロノスタシスで押井守で羊文学でストレンジャーシングスでピクニックでチタタプ)
③楽しいと思うことを仕事にできず、日々懸命にお金を稼ぐ人(中小企業で営業、トラック東京湾に捨てる)
④楽しいと思うことを仕事にして、お金を稼ぐことを目的としない人(株式会社SCRAPの契約社員、写真家パイセン)
⑤資本主義の海に溺れて”成功している人”(西麻布のIT社長、電博の父母、ピクニックで何も感じない面接役員)

登場人物で唯一、かっこよく描かれているのは⑥楽しいと思うことを仕事にして、資本主義で成功している人(オダジョー)
※⑥に関しては、邪推だが坂元裕二ご本人が投影されているのではないか と思ってしまった。。何がラーメン食いに行こうやねん!絶対絹ちゃん抱かれとるやんけ!!
契約社員で雇ってやりがい搾取する極悪非道なヤツめ!

執拗な固有名詞のオンパレードが②の人達の強大な自意識をいじりまくり、執拗にdisってくるので、映画のはなから胸糞悪くなった。出会った初夜は一体何十時間あったねん!精神と時の部屋か菅田邸は!(個人的には八木ありさちゃんと菅田将暉のエロシーンでぶっ壊して欲しかった)
②を執拗にイジる中で①と⑤の人も対比としてイジられている。
③と④と⑥の対比は物語の後半。
『やりたい仕事でお金を稼げていない人が世の中の大半の人なんでしょ?お前らの恋愛ってこんな感じで脆く終わるんでしょ?』って脚本の声が聞こえて来て、またしても胸糞悪くなった。

けっこう、むかむかした1番大きな理由は何を隠そう自分の大学時代の友人や部分的な自分が②に該当するからだ。
お恥ずかしい話だが、ACCは脱退しちゃったドラムのユキエが好きだったし、単館系の映画の半券は栞にしてたし、ゴールデンカムイはヤンジャンで楽しみにしてるし、フレンズの野音単独誘われて行ったし、350mlの缶ビール飲みながら帰って攻殻機動隊観てたし、天竺鼠川原の茄子があらびき団の中でも好きだったし、フィルムカメラはLeica買ってイキってる というのがこれまでの私なのだ。。
今は、ポップカルチャーは享受しているが、特別なものだとは思ってないし、Newspicks booksもいくつか持ってる資本主義側の人間である。(人生の勝算は流石に開いたことはない)

ここまで、胸糞悪くさせてくれるのもまた狙い通りな気がして、坂元裕二脚本はまた拝聴させて頂きたい所存です。完敗です。
ちなみに、カルテットや東京ラブストーリー問題のあるレストラン普通に好きです!笑
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