麩

花束みたいな恋をしたの麩のレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.3
2021/2/19(1回目)
坂元裕二が固有名詞で出してくる「カルチャー」ひとつひとつがほんっとに絶妙〜にギリッギリさむくて序盤きつかった。
名前が出てきた作品たちやアーティストたちは皆素晴らしすぎる方々なんだけど
ああいうふうに並べられてああいうふうに語られると、坂元裕二の俺カルチャーわかってます感を感じてしまう
「にわか映画ファン」を演出するために挙げさせるのが「ショーシャンクの空に」とか、あまりにも古すぎない?

あなたも映画の半券しおりにするタイプですか?!とか
自己紹介で「好きな言葉は〜」ってなんやねん
しかも「替え玉無料」です、ってひと昔前のあざとさをやるな
映画の半券しおりにするタイプとしないタイプみたいな2派ないだろ
映画の半券みたいな薄くて柔らかい紙をしおりにしたらすぐぐちゃぐちゃになるだろ

でも序盤のそのウザささえも後半の切なさを掻き立てる要素になっていて結果とても好きな作品だった
ちゃんと優しくてちゃんと愛し合っていた2人
どっちもなんにも悪くないから悲しい
まだまだやり直せたのでは…と思っちゃう
麦くんはいい男だし絹ちゃんはいい女
2人とも演技うめ〜



2022/01/28(2回目)
前半記憶してたよりうざくてきつい
しょっぱなの音楽とはのシーンから2人ともうざすぎる
でも私もこうして持論開陳野郎をやっているわけだから同じようにうざくて浅いという事実をしっかり見つめないといけない。
カルチャーという岩の表層だけを羽衣で撫でつけてなんかやった気分になってしょうもね〜
でも、大学ってそういうモラトリアムが許される美しい場所でさあねー
「麦くんと1回ちゃんと話したかったんだよねー」って言ってくるやつと話すことなんか1文字もないよな

ガスタンクで自分を珍しがるのきもすぎ
僕、ビルの壁にぶら下がって清掃してる人を見かけたときは毎回写真撮ってるんですよとか
僕、顔はめ看板が好きで見かけたら毎回撮っちゃうんですよとか言いそう
(そういうのは楽しいよね、人に“そんな珍しい自分”を見てもらうためにやってる感じは寒いと思うけど)
「犬と立ち食いそばが好きな人です」ってきもすぎ
いいからさっさと押井守がいますって言えよ
わかってない人にそんなキモ知識披露みたいなことしたところで
楽しく盛り上がれるわけないじゃん
麦くんも絹ちゃんもあの2人を「うわぁ〜こういう系ね〜」って思ってたかもしれないけど
あっちの2人は麦くんのことを「知識をひけらかして相手に要らぬ不快を与え、え?俺の話わかんないの?マジで?って物知りぶってすかしてくるキモい学生だなぁ」って思ってるよ

じゃんけんっておかしくない?って全員が小学校3年生くらいまでに思うやつを大学まで引きずってピュアぶるな
電車に乗っていたことを「電車に揺られてたら〜、」って表現したのでときめくのすごい
そんなポエミーな陶酔野郎やだ
あと、初対面のひとんちにあげてもらって真っ先に本棚をまじまじと眺める絹ちゃん、嫌ーー
もしお姑さんになったらお嫁さんの本棚をまじまじと見つめて「うわぁ〜」って思いながらニッコリ微笑む史上最悪ばあさんになれそうだね

麦くんの焼きおにぎりを網で焼くところは好きです。美味しそう。付き合ってください
あと麦くん絵うまい
趣味でも絵つづけてほしいよ
3センチ✖️3センチのちっちゃーいイラストでいいから毎日描いてよ
仕事落ち着いたらきっとまた絵がいい友達になるよね

でもさあーーーーー
付き合うまでの2人は激サムなんだけどさ
付き合って以降のこの2人は、お互いに思いやりあってて、ふたりぶんだけの小さな暮らしを丁寧に楽しんでてめちゃくちゃかわいいんだよなーーー
30分経過したあとのこの映画はめちゃくちゃ好きだけど前半30分は痛すぎて寒すぎて私の腹からも血が出るからつらい
丸2日大学生ふたりで過ごして冷蔵庫がカラにならない麦くん、ちゃんと暮らしててしっかり者 

暗転の使い方めちゃくちゃうまいな
5年間のどの日どの瞬間どの表情を切り取って映画にするかという、物語のパッチワークがうまい
土井裕泰監督の演出すごく好きだ
「劇場」で怒涛の激サム演出を繰り広げ全く効果的じゃない暗転を繰り返した行定勲は土井裕泰監督に暗転の効果的な使い方とおしゃれなシーンの切り替え方を学んだほうがいいよ
麩