たまには、邦画の恋愛ものを一つ。
年代的にもクリーンヒットする内容でした!だから余計に麦くんと絹ちゃんが過ごす日々の痛々しさをリアルに感じ、観ているのが辛かったです。
以下、ネタバレを含みます。
大学生らしい恋愛から、現実を見せつけられる社会人の恋愛に変わる。一つなぎに経験した彼らだからこそ、今と過去を比較してしまい、悲しいズレが生じてしまう。
序盤の二人の出会いもまた痛々しい。斜に構えた考え方を自分オリジナルの思想と勘違いし、大事にする。社会から浮いた自分が好き。平々凡々は嫌。そんな”よくある”大学生の二人は、まるで運命のように出会ってしまう。
それゆえ、出会いと付き合ってまもない二人を描いた前半パートは、見ていてクサく感じた。
そして、周りの環境が変化していくにつれ二人の価値観はハリボテに過ぎないことに気付かされる。「大好きだったはずの自分」は社会という現実にいとも簡単に吹き飛ばされてしまうのだ。
二人を繋ぐ管は実際のところあまりにも薄く、もろかった。しかし、「映画的な運命的な出会いをしたから本物だ」と、信じれる何かを共有してしまったことで、二人の関係が崩れていく音に鈍感になっていたのかもしれない。
そして、クサい描写は二人のキャラクターだけに留まらず、映画全体の構成にも見られた。その要素が多い故に、青春時代の恋愛の失敗とダブりやすくなり、痛々しい記憶が蘇り大きな共感を生んだのだろう。