mi

花束みたいな恋をしたのmiのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

すべてが白々しく薄ら寒い。リアリティを重視した描き方をしていたのに、最後の最後で過去の自分たちによく似たカップルを登場させて場を盛り上げようとする非現実的な演出でぜんぶぶち壊しになってウケた。
でも同時にこのカップルは“そういう雰囲気”が好きなだけだったんだなということがわかる。この人たちにとっては壮大なラブストーリーだったのだろうけど、交際期間たった4年だし、すれ違いが起きても関係を続けていくための歩み寄りや努力をしていないのだから、当然別れるしかないよね。当たり前すぎてなんの感情も湧かない。異性カップルだから、“結婚”でどうにかなれる可能性があるのも、よかったですね〜〜としか思えなかった。結婚という行為(結婚というワードを出すこと)を、現実や、誠実さ、責任などと結びつけて描写されるのが、異性愛者の特権をまざまざと見せつけられてまじで胸焼け。しかも男性側にしか「結婚しよう」と言わせないのがまたマチズモに拍車をかけている。脚本キモい。

女性が自分の好きなことを仕事にし、男性は家計を支えるために夢を犠牲にしてやりたくもない仕事で金を稼ぐ。そもそも女性は実家が太く、男性はそうではない。なぜそういう設定にしたんだろう?明らかにミソジニーを感じた。自分の夢であるイラストの仕事で値段交渉もまともにできない男が、営業の仕事に転職した結果、毎日残業して働いてすり減っていくことがそんなに偉くて悲劇的か?自分が犠牲になっていると言いたいのか?女はそれに感謝しなければならないのか?そういう流れに持って行ってる脚本が本当にキモい。いつまで大昔の家父長制崇拝してんだよ。もううんざり。
もはやミソジニーと家父長制万歳を描きたくて作られた映画ではないのだとしたら、このカップルが男女である必要性を感じられない。女性同士・男性同士の恋愛、友情の物語のほうがよほど自然でドラマチックだっただろう。

こういう映画がエモいとか感動とか言われて消費されている限り、日本はいつまでも家父長制から抜け出せず、男尊女卑のまま、異性愛者・既婚者だけが優遇され、どんどん後進国になっていくんだろうなと思った。
mi

mi