このレビューはネタバレを含みます
冒頭シーンのカップルが有線イヤホンを片耳ずつ分け合って音楽を聴く姿に文句を言いに行こうとしたり
「ワンオク聴くか?」
「聴けます」っていう無意識に人を下に見た発言をしたり若者特有の未熟さを感じた。
それが痛々しいのはきっと自分たちもそうだったからだと思う。
それが夢を諦め社会に出ることによって価値観の形が変わっていく麦。
それとは反対に変わらず自分の好きを貫こうとする絹。
その絹の姿に自分が否定された気がして麦が怒るのも分かるが、麦が紡ぐ言葉は全て絹の嫌いだった普通とか世間とか流動的で空虚な大人と同じ発言で麦がどんどん絹の嫌いだった大人になっていくのが見ていて疎ましかった。
好きだからこそ反対意見を言えない絹の気持ちもわかる気がする。
最後、麦が絹に結婚を迫るシーンは麦は本当に変わってしまったんだな、と思ってしまった。
結婚をお互いのズレを埋め合わせて社会的に繋ぎ止める道具として麦が絹に使わないで欲しかった。