舞台は19世紀後半のイタリア。
土地、家畜、住居、身の回りの物の殆どが地主からの貸与で成り立ち、作物の2/3を地主に渡さねければならない厳しく貧しい生活を強いられる小作農4家族の物語。
キャストは全て素人の農民を使い、人工照明を一切使用せずに自然光のみで撮影。
冬の黄昏時の澄んだ空気、蝋燭の薄灯りに浮かぶ人影と表情。
観ているだけで安らかな気持ちになれる素朴で美しいシーンが多く、当時の庶民の生活を追体験しているような感覚さえ覚える。
都市部ではデモ隊と国家間で激しい衝突がある一方、片田舎では厳しいながらもゆったりとした時間が流れていたのが印象的で、当時の農民がどういう立ち位置にいたのかを象徴的に表していたように思う。
時代が移り変わろうとする中で、革命とは程遠い生活を余儀なくされる人々がいた。
「彼らは気の毒だ」と単純に言い切れない何かがずっと心に引っかかっている。