木靴の樹の作品情報・感想・評価・動画配信

木靴の樹1978年製作の映画)

L' ALBERO DEGLI ZOCCOLI

上映日:2016年03月26日

製作国:

上映時間:187分

ジャンル:

4.0

あらすじ

「木靴の樹」に投稿された感想・評価

ROY

ROYの感想・評価

4.3
浄福

「時は変わらずに流れ続けていく。人が生まれ、成長し、子を生み、やがて年老いて死ぬ。人間や動物の誕生と死のサイクルもまた自然のサイクルの一部だ。教会の鐘の音が一日の区切りを知らせ、季節の移り変わりが人々に何をすべきかを教えてくれる。そこでは進化する時間や歴史の概念はありえず、人々は悠々と反復する自然のサイクルに従ってただ生きること、それだけである」(パンフレットから抜粋)

起承転結はなく、ただ流れている。180分という時間によって、それがより一層強調されている。

「北イタリアのベルガモ地方出身のオルミ監督が、幼いころ祖母に聞いた昔話をもとに、19世紀末のベルガモの農村を舞台に、貧しい生活を強いられながらも、大地とともに力強く生きる農夫たち4家族の生活が描かれる。出演者は全て素人のベルガモの農民たちを起用し、監督・脚本・編集・撮影全てオルミ監督自身が担当。ほぼ自然光での撮影による徹底したリアリズムによるドキュメンタリーのような作風が絶賛された」(「映画.com」から抜粋)

本作は2016年に四半世紀を経て、岩波ホールなどで再公開された

「季節と自然の美しい映像がコローの絵のような美しさで描かれるけれども、それは映像美学的な詩(それ自身、近代主義の生み出した抽象的思考の産物である)ではなくて、農民生活の一部として、鵞鳥の首を斧で切ったり、豚を生きながら裂く強烈な生活感覚の枠のなかで見られているのである」— 辻邦生

職業俳優を使わず、すべての出演者はベルガモにある2つの村で撮影された2500枚の写真に写っていた、8000人に及ぶ人々の中から選抜されている。

フェルナンド・ゲルマーニ編曲のバッハのオルガン曲

カンタータ第156番〈わが片足すでに墓穴に入りぬ〉

モーツァルトの『ドン・ジョバニ』のアリア
joker

jokerの感想・評価

4.0
3時間の大作。

出演者の人々がすべて本物の農民という、淡々としているがかなり挑戦的な映画。

豚や鳥を捌いたり洗濯物を干す姿には、
人間の原点を教えられる。

子どもたちの表情がとても良く、
自然とこちらまで顔が綻んでしまう。

1本の樹から靴を作るシーンは、
なんとも言えない気持ちになる。

こういう生活の積み重ねが、
人間の心を豊かにするのだろう。
fiorina

fiorinaの感想・評価

4.6
エルマンノ・オルミの代表作でパルム・ドール受賞作

19世紀末の北イタリアの農村に暮らす貧しい農家たちの生活を描いており、ネオレアリズモのような作風が特徴的。
演者はブレッソンのように本物の農夫や素人を採用しているのでかなりリアルに描かれている

遠景からの田園風景や川を舟で移動する場面は限りなく絵画を観ているようでとにかく美しい(ミレーの『落穂拾い』的なイメージ)
Vocalise

Vocaliseの感想・評価

4.3
最終盤までは特に大きな事が起きたりということはないけれど、
終始観る者を惹き付けるすごい力のある作品でした。

それは映像が魅力的とか子どもが可愛らしいとか理由は多くあると思いますが、何よりも一貫した“まなざし”があってこそだと思います。
搾取されながらも、生きることの基本に忠実に日々を送る人たちの営み。
祈り。作物。動物たち。
ささやかな楽しみや希望。
全てが愛しい。

さらに、静かに進んでゆくストーリーのなかでそこに生命の美しさをこんなにも感じさせることにはただただ驚きと感動でした。
赤ちゃんの誕生など人間に関してだけでなく、摘みたてのトマトや、春が訪れて一斉に咲く花々、動物の意思…すべてに特別な輝きを感じてこんなにも心を動かされるなんて…。

キャストは全員、本物の農民というのは見終わった後でも信じられません。
素朴さみたいなものを演じられる役者さんはたくさんいるでしょうが、監督のあのまなざしを体現できるのは彼らしかいなかったのだと思います。

また全てが自然光というこだわりも、
家からもれる小さな灯りと、去り行く馬車のもっと小さな灯りという完璧なラストへと繋がって、特に素晴らしさを感じました。

長い作品で見るタイミングを迷っていましたが、本当に観てよかったです。
また暫くしたら必ず見返したい作品の一つになりました。
Iroihs

Iroihsの感想・評価

3.5
春のひとりBOWまつり④

くらし。よく働き よく歌っている。

メッシ似のストーカーは激こわ。
たまごもぐもぐおじいちゃんは激かわ。
馬の蹄にへそくりジジイは激やば。

焼き梨はきっとうまい。
Johnson

Johnsonの感想・評価

-
最近1番気になっている監督、エルマンノ・オルミ。本当なら『時は止まりぬ』、『定職/就職』、『婚約者たち』と制作順に観たかったのだが、レンタルはおろか市場にも出回っていないため諦めてU-NEXTにあった今作を鑑賞。

180分と長いもののファスビンダーの『あやつり糸の世界』(212分)を観たばかりの自分にとっては恐れるに足らないと挑んだ。結果、体感だと180分も経った気がしなかった。それだけずっと観ていられる。

農家の家族の生活をただ映しているだけでストーリーもなければ凝った演出も特にない。今作は自然の美しさと精一杯生きようとする人々の美しさだけで成り立っている。あと子どもたちの可愛さ。
とにかく淡々。淡々。淡々。この調子で3時間か・・・、と思うのと同時に、この調子だから3時間じゃないといけないってのが分かる。
時に惨く思われる家畜を捌く様子も嘘偽りなく描いていて、生きるということがこういうことだというのを知らされる。
民主主義を訴える演説を聞きながら落ちている金貨を拾う農民の精一杯な姿。
丁寧に生活している家族が、地主の気分を害しただけで村を追われる理不尽さ。文字にすると説教臭くなるのに、映画自体は全然そんなことはない。とにかく淡々、淡々、淡々。
よし

よしの感想・評価

4.5
どこまでも淡々とリアルな農民の生活にスポットを当て描き出す傑作、遂に見た。それは生き物を殺す瞬間でさえ。日常に根差していて、絵画のごとく圧巻の映像美にも自然光による撮影らしくその空気や雰囲気が刻まれているみたい。ミネクかわいすぎる。木靴があちゃちゃになるのは半分超えてからです。(本当に素晴らしい映画の場合)3時間って案外見れてしまうものだ。これがリアリズムってやつですか、な詩情。見られる内にまた見直したい。

「話しかけてもいいかな、こんばんはだけでも」「それだけなら」「返事は?」「こんばんはだけよ」→このやり取り好き

P.S. すぐバッファリング?するのムカついたけどコレも視聴者数増えてってコロナのせいか
『木靴の樹』における、
動物を殺める瞬間の力強さ。
この映画はそういう瞬間すら、淡々と映像で見せてくるので、良い意味で嫌らしい演出が一つもない。
農家という環境下で、
子供が藁の中に楽しそうに埋れている矢先、他の子供が慣れた手付きで鳥を捕まえ、それをそのまま大人に渡す。
大人は躊躇なく、その場で鳥の頭を
斧で切り落とし、頭を処理しようと、子供も素早く切り落とした頭を手に持っていくのだ。

生きるための手段、
それをピックアップすることなく、
引きの映像で当たり前のようにその瞬間を切り取っていくのだ。

豚を殺す瞬間も一緒、
生きるための当たり前の行動であり、
ピックアップするような映像の切り取り方は一切していない。

淡々と、ここで暮らす農家たちの日々が
映し出されていく。
ロシア文学みたい。
いわゆるヒューマニズムな作品。
これといったストーリーはないがずっと見てられる。
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