ミミック

木靴の樹のミミックのレビュー・感想・評価

木靴の樹(1978年製作の映画)
4.0
19世紀のイタリアで、領主に家と土地と農具などを借りながら農業をして生活をする四家族の農民たちの、慎ましくも逞しく生きる姿を描いた人間讃歌。

絵画の人物が動き出して生活しているのを見ているかのような当時の生活のリアリティに溢れ、この映画が流れていたらたちまちそこが美術館になるほどの芸術性が自然光で撮影された映像の質感から感じ取られる。

大きな出来事は何も起こらないけど生活は描けるし、それこそ絵画を眺めて気付いたら時間が経ってるように三時間もの長さはそれほど感じなかった。

地主と小作人の関係興味深い。イメージと違って晴天が少ない。鳥豚牛馬など家畜の重要性。鐘の音が時計の変わり。戦争は都市部や遠くの彼岸の出来事。集落の住民が囲んで仲良く雑談や笑い話などする様子はほっこりする、怪談話のオチが日本でも良くある「それは‥お前だー!」で笑った。

息子の壊れた靴を作るために地主の樹を無断で伐った為家を追われる家族と、明日は我が身の周りの家族は声をかけれず家の窓からただ眺めるしかない姿は苦しいの一言、ひたすら厳しい現実がラストに待ち受けていて衝撃的。
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