りばいあ

カモン カモンのりばいあのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
5.0
もう31。地元の同級生には子供がわんさかいて、仕事では後輩ができたり、あと10年後には40で、ふとしたときに、あとどれくらい両親と会えるんだろう?と考える。一般的に見たら立派な大人で、でも分かっているようでまだ何も分かってない。歳を重ねるたびに26で俺を産んだ母のことを想う。その覚悟や不安、今の自分には想像すらできない。

離婚して、子供たちに見放され呆れられ、でも自分のことを犠牲に働き続けてくれた。母親らしいこと何も出来なくてごめんね、そう言われた思春期の頃は怒りが込み上げたけど、歳を取ったいま、あの時の母の気持ちが分かるような気がする。

何も分からないまま手探りでただ突き進んだんだと思う。自分のこと子供のこと、世の中のこと、優しさや厳しさ、怒りや悲しみも。母らしくあって欲しい、子供の勝手な願いにずっと母らしくあろうとしてくれた。献身は愛で、愛は家族だった。

ダラダラと喋る大人たちに対して、子供たちに理路整然と無垢に語らせることで、繰り返される未来を描きたかったのかな? あの少年もいつか大人になるわけで、だけど記憶を記録することで、変わってしまうだろう未来に残る、変わらないものがあることを伝えたかったのかもと想像したり。

マイクミルズは自分の死をある程度受け入れたんだと思う。20センチュリーウーマンはあくびが止まらなかったけど、今回はかなり漠然としながらも、言語化激ムズな生と死と愛の意味に向き合いまくってて大好きでした。おそらく影でめちゃくちゃ支えたんだろうミランダジュライ含め、感謝を述べたい。ありがとう。
りばいあ

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