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カモン カモンのしおりのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
5.0
かつて子どもだったすべての大人が忘れている大切なことを
いつか大人になる子どもたちが
彼らの知っている最高に大人っぽい表現で
必死に伝えようとしてくれる人生の指南。
その表現全てに、グーパンチをされたような気がして
恥ずかしいような懐かしいようなくすぐったい視聴感が余韻として残る感じ。

そして劇中に出てくる「MOTHERS:AN ESSEY ON LOVE AND CRUELTY」をポチった。
子育てという、人生における大仕事が母親に全投げされている現実を
フェミニストという表現を使わずに完璧に説明していたから。
この映画の中の父親は双極性障害で療養中なので
母親の弟がこの本を読んだことで
甥の面倒を見る姿勢が変わる劇中のキーアイテムなんだけど
父親じゃなくて叔父っていうところが押しつけがましくなく現実を突きつける感じがしてすごく響いた。

父親の療養に全振りするため、母は息子を弟に託す。
叔父が甥とすごす数週間の中で
メンタルヘルスや家族の過去、悩みやトラブルとの向き合い方を
いかに大人の都合を排除して子どもに教え導き伝えるか、が
不器用ながらもシンプルにまっすぐ描かれた作品。
私は大好きです。
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