綺麗なジャイアン

カモン カモンの綺麗なジャイアンのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
3.7


「ママはいつも言う。『泣く子は嫌い』って。
だけど一度ママに言ったんだ、
『僕は泣くかも、人間は泣くんだよ』って。

でもママは『あなたは強くならないとダメよ』って言った。
そのことが何よりも嫌だ」

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この映画は賛否両論ありそう。

でも子供おる人には観てほしいかも。
イライラするかもしらんけど…

この子供はすごい賢くて周りをよく見てるから敏感で繊細で、だからこそ大人を試してるんやと思うと涙出てきた。

イライラするのは相手を理解しようとしても理解できひんかったり、してくれへんからやと思うけど、、ここで疑問。

大人同士では理解できひんこともあるって諦めて割り切れるのに、なんで子供相手になると努力すれば理解できる、させられると思うんやろう。

子供は大人がどこまで理解してくれようとしてる人なのか、子供らしく確認しようとしてる。

大人はこの子供がどうやったら理解してくれるかを大人らしく模索しようとする。

ここですれ違いが生まれるんかな。

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「ママは僕を愛してくれたけど、僕のすべては分からない。僕もママのすべては分からない。それでいいんだ」

これが答えな気がした。

子供は大人が思ってる以上に、大人を見てるし、
自分を理解してる。
まだその伝え方を知らんだけ。


映画としては淡々としてて、
退屈に感じる人もおると思う。
自分の人生と照らし合わせて
ストーリーから逸れる人もおると思う。

実際に私も映画観ながら、
幼少期に親が夜中働きに出てるから
弟が寂しくて朝まで泣き止まんかった時、
「なんで分かってくれないのか」
「泣きたいのはこっちやのに」
って思ってた日々を思い返してた。

その生活があってから私は子供の泣き声が苦手で
映画でも子供が泣いてたらイライラしてたけど
この映画は違った。

「僕は泣くかも、人間は泣くんだよ」
ってインタビュー受けてる子供の台詞にハッとさせられた。

もしかしたら
弟の唯一の理解者になれたかもしれない。

でも言葉にする方法も寄り添い方も
知らんかった。子供やったから。


私がこういう風に感じてることを
私の親も弟も理解する日は来やんと思う。
でもそれでいい、
皆が皆を理解する必要はない。

誰も全ては分からない。
だから進むしかない、前へ前へ。
(カモンカモン)

他人を言葉だけで理解しようとするなんて、
それこそ子供の言うようにぺらっぺらなのかもしれない。子供は大人の言葉の薄っぺらさをよく見抜くから。

でも理解してもらうには必ず言葉が必要で、
相手に伝わる言葉を選べるように学んでいくのが
大人になっていくということかなと思った。

なんやろう、盛り上がりはないけど
子どもも大人も愛おしくなる映画で
個人的に好きでした。