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カモン カモンのまのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
4.8

自分の最近の個人的な事情と相まってめちゃくちゃ感動した。忘れられない映画になる。分かり合いたい!人と

以外、メモ

子供は希望だ。なんの衒いもなくそう言える。子供はあらゆる可能性を孕んでいる。天使のようだ。そして無限の絶望の可能性を孕んでいる。子供の絶望には果てがない。
双極性障害の父親を持つ子供がどんな不安を感じているか、もう僕は切なくて、僕の存在しない子供のことを考えた。

“母性とは、我々の文化において、完全な人間とは何かという葛藤を埋める場所だ。母親は個人や政治の失敗、あらゆる問題への究極の生贄であり、すべてを解決すると言う不可能な任務を負っている。我々は母親に社会や我々自身の最も厄介な重荷を押し付けている。母親は、人生の困難な幹部に直面せざるを得ないのだ。なぜ物事を明るく無垢にするのが、母親の役目なのか。”
ジャクリーン・ローズ 『母たち:愛と残酷さについて』

「君くらいの年齢の子がよその国から来たら米国についてどう話す?」
「悪いこともたくさん見るだろうけど、"美しい国だ"と。いろいろ問題はあっても、優しい心を持ったいい人が大勢いる。知らないに対しても。
僕の父さんには問題が多く、今は刑務所にいることばかりなんだ。妹は現実を見たがらなかったけど、僕が経験したことを知って欲しくないし、考えて欲しくないんだ。責任を負うべきことが人生にはたくさんあって急にそうなって対応できない時もある。でも責任を負うことに誇りを感じる妹が大好きだから、僕を父親と思っても兄と思ってもいい。そんな感じかな」
「君はいい人だ。お父さんの面会はよく行く?」
「しょっちゅうさ、それが将来について考える意欲のひとつだから」 

「僕が怖いと思ってるのは孤独かな。だって人間っていうのは相手を理解しようとしてもできない。味方がいないようでとても怖い。」
インタビューに答えた少年の言葉だが、この映画の本質だ。ジェシーが感じる孤独。人との繋がれなさ。双極性障害で、純粋で子供のような父親が隔離病棟に収容され、ジェシーは世界に一人になったように感じる。うわべのコミュニケーションを憎み、ジョニーが妹を思う気持ちを「ぺらぺら」と嘲笑う。

"地球へ行くには、人間の子として生まれること。まず新しい体の伝え方を覚える。腕や足の動かし方、まっすぐ立つ方法、歩き方、走り方手の使い方も覚える。声を出し、言葉を作ることも。やがて自分の身を守れるようになる。ここは静かで平和だが、向こうは色や感覚や音が絶えず押し寄せてくる。多くの生き物がいる。想像を超えた植物や動物。ここは常に同じだが、向こうでは、全てが動く。何もかもが常に変化している。地球の〈時間の川〉に飛び込むのだ。多くを学ぶだろう。多くを感じるだろう。快楽や恐れ、喜びや失望、悲しみや驚き、混乱と喜びの中で、自分が来た場所を忘れる。大人になり旅をし、仕事をする。もしかして子供や孫を持つだろう。長年、理解しようとする。幸せで、悲しく、豊かで、空っぽな、変わり続ける人生の意味を。そして星に還る日が来たら不思議な美しい世界との別れが、つらくなるだろう。"
クレア・A・ニヴォラ『星の子供』

子供の絶望には果てがない。同様に、子供の希望も果てしない。その証拠に、全編白黒の映像なのに、こんなにも色づいて見える。ふざけようコンマ、そうできるときはピリオド。(Be funny, when you can.)そして希望はいつも予想外だ。だから先へ進むしかない。C,mon C,mon…

「僕がすべてを思い出させてあげる……」
ま