Atsuya

ミッドナイトスワンのAtsuyaのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

正直最初『凪紗』を見た時違和感がありましたがストーリーが展開してくにつれ草彅剛さんをはじめとしたキャストの皆さんの演技に自然と引き込まれていきました。
『スクリーンに草彅剛はいなかった。』
『凪沙という一人の女性が存在していた。』
というレビューを目にした時
本当にその通りだなと思いました。
僕は
『草彅剛』という俳優が演じている『凪沙』ではなく、
『武田凪沙』という一人の人生の一部をみて、
いろんな気持ちを抱いたんだなと。
そしてなにより、新人の服部樹咲さんの演技がとても凄かったです。
演技未経験とは思えないリアリティのあるセリフの言い回しで短いセリフでもすごく心に刺さってきました。演技初挑戦で凄く難しい役どころだったとは思いますが素晴らしかったです。バレエのシーンの手先の美しさにとても魅了されました。

母親から虐待を受け母性というものを知らずに育った『一果』が『凪沙』と様々な事を経験して最後世界に羽ばたいていく姿に胸を打たれました。

キャストの皆さんの実力と内田監督の演技指導がとてもいい化学反応を起こしていました。

さて作品中いくつか差別的な発言がありました。
『今、流行ってますよね。LGBT。』とか
『おかまに負けてる』だとか。。。
LGBTの人はこういった発言が心に突き刺さって、
劇中にもあったように『なんで私だけ。』と
思ってしまい孤独を感じてしまいます。

自分自身も自覚はなくてもどこか性の悩みを抱えていらっしゃる方に対する配慮が欠けていたかもしれなかったと思うと本当にゾッとしました。

日本人のLGBTの人たちへのイメージは海外とは比べものにならないぐらい酷い、そして無知という日本の現状も痛いほど分かりました。

僕にとってこの2時間4分は自分の価値観をがらりとひっくり返してくれた時間でした。

LGBTについて理解を深めて少なくとも自分の周りの人を知らず知らずのうちに傷つけてしまうようなことがないようにしたいと思いました。

この行動をそれぞれがそれぞれの周りの人を考え実行すれば心無い差別はぐっと減ると思います。

映画をみてから自分の中でこれほどまで考えさせられた作品は初めてでした。
本当に素晴らしい作品なので友人に薦めました。実際、映画館に足を運んで、みてくれた友人から感想を聞くと本当に心が暖かくなりました。

完全に『ミッドナイトスワン』の
虜になってしまい、
あの美しい世界観をもう一度体験したいという
想いが溢れて、3回鑑賞しました。

『ミッドナイトスワン』という作品は
間違いなく僕の『人生の1本』になりました。

いろいろな大人の事情で地上波での宣伝活動がままならないなかSNSを通じて国内のみならずたくさんの方々にこの映画が広まっていることを本当にとても嬉しく思います。
12月31日には台湾での上映が始まるそうなので台湾のみならず世界中に『ミッドナイトスワン』が広がってほしいと思います。

最後にこの映画を生み出してくださった
内田英治監督、全ての映画関係者の皆様に心から敬意を表します。。。

―――追記―――
㊗️アカデミー賞最優秀作品賞🏆
㊗️アカデミー賞最優秀主演男優賞🏆
他、8部門受賞🏆
㊗ブルーリボン賞主演男優賞🏆
Atsuya

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