【Music】渋谷慶一郎
見えてなくてもきれいなものをきれいと言う感性が描かれたのは救い。バレエのシーンがどれも心を映してて美しかった。
この描き方だとまるで凪沙は母親になりたくて性転換手術をしたみたいに受け取れるけど、私はそうじゃないと思う。一果に踊り続ける生活を与えたいという思いはあったとしても、母になりたかったんじゃなくてやっぱりそこは自分が望む自分になりたかった、というか"なってみたかった"んじゃないかな。それをポスターにまで「母になりたいと思った」と書くのは違和感…(ハニージンジャーソテーを一果ちゃんの方に多くよそうだけで十分優しさと母性が伝わった)
あと映像表現においてリアルに血生臭いシーンを描くことがリアリティに溢れてるわけではないと思う。この映画ならそこをわざわざ描かなくてもリアリティに迫れてただろうになぁって思う。
音楽は渋谷慶一郎のへたうまなピアノが生々しくて、それが映画の世界と絶妙にマッチしていたのが悔しい。(賛辞)
スタジオで録音した所謂きれいな音ではないこのピアノの危うさと一果の危うさがシンクロする。
たいていのバレエのシーンは実際の踊る曲を用いてたが、バーで踊り出したときは無音で踊ってるところに劇伴としてのメインテーマが乗った。それが海で踊るときはまるでそのメインテーマに乗せて踊ってるように見えた。素晴らしい演出。
