Miho

ミッドナイトスワンのMihoのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

草彅さんの演技が演技と思えないくらい、本当になぎさになっていた。
仕草や歩き方、話すスピード、なんと言っても目が女性の目をしていらっしってグッときた。
いちかちゃんを見つめる目が母親になっていた。
いちかちゃんのために、命をかけて手術を覚悟し、そしてついに女性になる。
なぎさにとって、身体も本当の女性になることってどのくらいのことなのだろうか…。
性転換の手術は失敗すると、死んでしまうからこそ決断がしにくいもの。よく考えなければいけないこと。計り知れない覚悟が必要なこと。
いちかちゃんの夢のため、人生のために、人生をかけて闘っていたなぎさ。
心が女性だということを理解してくれない家族。
そんな中で強く強く生きるなぎさの姿は美しかった!
いちかちゃんを守るなぎさは母親よりも母親だった!

いちかちゃんを気にかけて最初に声をかけてくれた友達。
足の怪我でバレーを踊ることができなくなってしまう。
絶望や嫉妬、ショックすぎて何も感じなくすらなっていたかもしれない心。
金持ちで何一つ不自由なく生活できる彼女の環境は…良かった…のかな。
家族だけど、本当に家族という寄り添いや心の繋がりは欠けていたように感じた。
いちかちゃんに声をかけたのも、どこか孤独を感じていそうだったからなのかなと思った。
彼女も家では意外と居場所がないというか、どこか寂しさがあったのではないかなと思いました。
自分とどこか似ているにおいがした感じ…。
一緒にいるようになってお互いに寂しさは緩和されたようにもみえたが、怪我でバレーを辞めざるおえなくなって、また心の穴が空いてしまった。
でもそれは残念ながら、大きく大きく空く一方だった。
彼女は結局、残念な結果になってしまった。

この映画は登場人物の色んな視点から考えて見てみると人間の汚い部分だったり、報われない気持ち、現実だったり、なんとも言えない感情になる、切ない映画でしたが、ただ切ないだけではないです。
報われなくても、人のために懸命に生きる人間の姿は美しいと思えた映画でした。
Miho

Miho