ミッドナイトスワンのyuziinのレビュー・感想・評価

女という性への憧れを抱き続けたまま大人になった。
性器を切断し、作り物の乳房をぶら下げても、本物にはほど遠い。女性になろうとすればするほど、皮肉にもその姿は醜さを増していく。
彼は海の上で踊る白鳥であった。舞い降りる場所を間違えた白鳥は、いくら羽を広げても、海の激しい波と残酷なほど辛い潮に呑まれてしまう。もがけばもがくほど波は強くなり、白い羽は抜け落ちていく。
湖の上であったならば、彼の踊りはそれは実に優雅になり得たのだ。