映画の冒頭からずっと自分の胸の鼓動を感じて観ていた。昔、仕事で知り合った、凪沙と同じような性を持った女性の事が頭に浮かんで、あの頃、彼女の複雑であろう心情をあまり理解せず過ごしていた自分を振り返りながら観ていたからだと思う。孤独と心の痛みを持つ凪沙と一果という2羽の白鳥の物語は淡々と進むが、それは本当に残酷で美しく、凪沙が夢見た白鳥は、一果によって羽ばたくことができて、凪沙は幸せだったと思いたい。一果が初めてチュチュを身につけるシーン、バレエスタジオの入り口の風景、バスの中で体を寄せ合うシーンなど細かなシーンもとても美しかった。