繋いでいく物語だなと思った。希望は繋がれた。これは一果の物語だと受け取った。凪沙と出会わなければ一果は全く違った人生を送っていただろう。凪沙もまたそれは同じで自分のため、仲間のため、でもどこか刹那的にも見える人生から母親になりたいと思うまでの出会い。心の奥底ではずっと愛情を注げる相手を求めていたのだろう。そして、トランスジェンダーの甘くないというより残酷なまでの現実が描かれているのが良かった。テレビに出ているいわゆるキャラクター化されたような存在ではなく等身大の人間としての生活や悩み、無意識の悪意にさらされる日常の描写。母性や父性と分けるのもどうかと思うが、バレエの先生含め子供に愛情を注ぐ女性たちは多く出てくるが、りんの父親像含め父親の存在とはにも思い至らされた。凪沙の父親がいたらどう対応したのだろうとか。
バレエシーンをはじめ、セリフのないシーンでの表情、表現力など服部樹咲が素晴らしい。そして、何より音楽がとても良かった。
