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ミッドナイトスワンのアイのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

Girl meets Girl。
一果と凪沙。一果とりん。
出会えてよかった。不幸な結末のようで、ハッピーエンドに思えた映画。
かけがえのない、大切で特別に思える人と出会えずに死んでいく人も多いのだから。凪沙もりんも決して不幸ではない。

シングルマザーのネグレストにより新宿で生きる親戚(叔父)に預けられることになった一果。現れたのは”叔父さん”ではなくトランスジェンダーの凪沙。最初はお互い反発するものの、生活していくうちに心を通わせるようになる。孤独なふたりで作られる疑似家族。母と娘。そこには確かな愛が生まれた。

一果はバレエが好きで、近くにあるバレエスタジオに通い始める。そこで出会った裕福な家庭の桑田りんは、同じ中学に通う女の子(同級生)だった。両親がいて裕福で恵まれているように見えるりんも孤独を抱えている。バレエを踊ってる時だけが自由で安らげていたのかもしれない。りんは一果のバレエの才能に嫉妬しつつ、惹かれていく。一果も寂しさを共有できるりんに心を寄せる。(百合的表現もあったが、思春期の少女らしい性倒錯は清らかで美しい。)

Girl meets Girl。

一果は短い期間ではあったが凪沙とりんに出会い、喪った。
二人とも喪うのだ。(内田監督、残酷!とは思った)
可哀想に思うかもしれないが、一果は二人と出会い、愛を知って、世界に羽ばたいていく。バレリーナとして高く、高く、自由に飛べるようになる。

主人公は凪沙だが、一果に惹かれて観てしまった。
新宿の猥雑で汚れた世界にいても、イノセントで孤高な一果は綺麗だった。特別な輝きと才能を持つ少女。凪沙とりんが惹かれるのは当然である。

とにかく服部樹咲の存在感がすごかった。
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