レイ

ミッドナイトスワンのレイのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

良い映画だ、と思う反面、うーんと色々考えてしまう映画だった。

草なぎ剛、良かったと思う。難しい役どころだが、本当に歩き方とか女性らしかった。ただ髪を払う仕草の不自然さはわざとなの?
バレエ講師からでた自然な「お母さん」の言葉で、ナギサの嬉しそうに綻ぶ表情。
ここだけじゃないか?こんな笑顔は。本当に嬉しそう。
そこからまるでお母さんのようにイチカに接する。普通の、お母さん。ご飯を作って、いつまで漫画読んでるのなんて言ったり、野菜も食べなさい、なんて。まるでお母さんのふりをしてみたわ、というこそばゆさも感じられた。
ナギサは子供嫌いだって初めに言っていたけど、本当にそうなら少年にボールを渡したりするかな。母性は元々あったのではないか。

イチカ役の子もよかったけど、彼女の心の変化が明らかに見えるわけではないので、いまいち本心が分からなかった。ナギサのことはどう思ってたんだろう。台詞が少ないというのもあるけれど一度もナギサのことを呼んだことがない。彼女自身、なんて呼べばいいのかわからなかったのかもしれないが。最後実母に「卒業したら「あの人」に会いに行っても〜」と言ってたくらいな気がする。
イチカがコンクールで実母と抱きしめ合うのを見てからナギサは母親というものに固執して、手術をしに去ってしまうけど、あのまま残っていたらイチカはどうしたんだろう。やっぱり実の母親がいいんだろうか。複雑だ。

あとりんちゃんが色々解せないのだが……あのいきなりのキスシーンとか、突然の自殺とか。衝撃すぎて「え!?」となった。それが悪いわけではないし、屋上からの飛び降り方もそれはそれは自然で、いい意味で気味悪かった。でもキスシーンいります?なんでいきなりキスしていい?になるの??普段から行間を読めない私には疑問符ばかり浮かんでしまった。

手術をしたナギサがイチカを迎えに行くときもイチカはどう思ったんだろう。嬉しいとかまた一緒に暮らしたい!っていう明るい気持ちはほとんど感じられなかったけど、それは女性になったナギサに対しての戸惑いも少しはあったからなのかしら?
というかあんな簡単に胸はだけるってどういうこった。

そしてまあ寝たきりになってしまっていたナギサにも結構衝撃だった。生々しさが……。最後の感じがいかにも、はいここ泣くところ!って言われている気がしてどうにも感情移入できなかった。
ただ、イチカが海外でバレエを踊るシーンは本当綺麗で素敵だった。
イチカ、最初にナギサと会った時と歩き方や姿勢がどんどん変わっていってて、最後はあんなに堂々とナギサのように格好良く歩いてる姿は良かったな。

社会問題どっさり入ってる作品だったな。
終わった後、しばらく色々考えさせられた。
レイ

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