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ミッドナイトスワンのKOUTAのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
3.8
かなり評価が高いので期待して見に行ったが、期待したよりも少し不満の残る作品だった。ただ全体的には素晴らしい作品ではあります。

序盤の入りはかなり良くて「これは傑作になるかな」と思ったのですが、所々前半かなりトントン拍子に進んでしまっていましたね。

リズム良く進むのは良いのですが、結構な箇所に「なぜ彼女はこの気持ちになったのか」「今どのくらいの日にちが経ったのか」という部分が分かり辛くて、原作が小説だと知った時にはかなりカットしたりしたんだなと分かりました

それでも前半は好きな箇所は多くてキャラクターの葛藤やメッセージ性も伝わる部分も多くありました。

後半からはどちらかと言うと前半に比べてリアリティーがなくなったというか、かなりドラマのような演出が多くてそういう意味では残念です

ちょいちょいスローな演出が入るし、絶対聞こえるハズのないガヤの声がハッキリ聞こえてたり(その台詞の一部だけアテレコしたような違和感)、一果の母親がバレエの大会で突然壇上に上がり一果を抱き締めたりと気持ちが冷める部分はあります。

それに個人的には死の描写で感動させるという演出が「あーまたか」と感じてしまったのが気持ち半分と、いいシーンだなと思う気持ちが半分でなんか全体的には 素晴らしい部分と悪い部分が良い意味でバランスよく保たれた映画だなと思いました。

それをカバーしたのが俳優人の演技で某事務所から離れた草彅剛の演技を観るのはこれが初なんですが彼自身演技は素晴らしくて今回もそう思わせてくれたし、なにより彼がやっとやりたい演技をできるようになったんだなと改めて実感はしました。

また新人の服部樹咲は口数が少ない役ではありましたが演技は素晴らしかったし、かなりカリスマ性もあると思います。自分も専門学生だけではありましたがバレエはやってたから、あそこまでバレエを見事にこなせる女優も今まで観たことなかったから驚きましたね。
とりあえず同じバレエを題材にした恋愛映画『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』はこれを観て反省してほしいです。

題材やメッセージ性は素晴らしいけど所々演出や脚本に不満点があり、それを映像と演技でカバーした作品かなと思いました。同じような題材の映画なら比べるのもあれだけど、『彼らが本気で編むときは、』が個人的には好きです


10点中7点
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