このレビューはネタバレを含みます
兎にも角にも演者が凄い、凄すぎる。焦がれた理想へ少しでも近付こうと藻掻き、うめき、絶望し、それでもただ強く帆を張って生きるしかない。二人の女性の孤高の活力に気圧されっぱなし。
短髪になった凪沙を見て、生き様って内から滲み出るものだなとつくづく思う。紛れもなく母として生きる女性がそこには居て、娘を見つめる眼差しは当たり前に温かい。
大御所に囲まれても喰われることなく逆に喰い散らかしてやるぞ!な服部さん、常に目が深く据わっていてヤバすぎる…バレエ経験で培った度胸なんだろうか、静かに滾る獣のようなオーラがあって良かった。
演者に関しては絶賛しかないのだけど一つ難点だったのが、素朴な掛け合いの良さが突飛な演出と過剰な脚本によってぼやけてしまっていて非常に残念。
芝居の力と観客の理解力をもっと信用しても良かったのでは…凪沙と一果の掛け合いは絶対に長回しでじっくり魅せるべきじゃん?!その余力も大いにあるはずなのに。
極上の食材を雑に盛り付けてしまっていて、映画全体として見ると演者と音楽にかなり助けられていた気がする