まぬままおま

男の優しさは全部下心なんですってのまぬままおまのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「男の優しさは全部下心なんですって」
そうらしいので鑑賞。

みこはいつだって男の2番手。その描き方がおもしろい。
既婚者の男の2番手。オナニーをする男の2番手。過去の婚約者に縋る男の2番手。霊の彼女を慕う男の2番手。立ち戻って既婚者の男の2番手。同僚の男の2番手。
1番手の女性は実在していることもあれば、死者として不在の場合もある。またオナニーをする男のシークエンスで明らかなように、観念上の性的客体としての女性にも1番を取られるのである。みこはどんな女性にも1番を取られる。悲しい人物である。
その人物像が、頼られたら好きになってしまったり、同僚の男の昼食時間を奪ったために焼き肉を奢る過剰な振る舞いで描かれており面白い。
こういう女性は、男性にしてみれば都合がいい。だから2番手なんだよな。

映画監督にハメ撮りを強要され、あげく監督の妻にばれ飲料をかけられるほど落ちぶれる様はとても悲しくなる。だがみこを悲しい受動的な客体として描くだけでなく、自ら2番手にしてきた男たちに連絡をするようなファム・ファタール的な側面もまた残していることに救いがある。

2番手は1番手の女性の地位を揺るがせたり、男性に不倫報道といった社会的な制裁を与えることもできる立場でもある。
メリーゴーランドの幻想に憑りつかれる男や女たちを現実に引きずり出すことをみこに期待したい。

蛇足1
みこが敦海にホットサンド(?)を半分にちぎって渡すシーンが一番煌めいていた。半分にうまくちぎれていないのがよかったし、ソースか何かが敦海の服にかかること。そして二人の表情が光っていた。

蛇足2
DJ後藤まりこさんの音楽が痛くてよかった。

蛇足3
辻千恵さん、田中真琴さんがよかったので、今後の活動を追っていきたい。